感想

亀田梨紗写真集

被写体の力、というものは、あって、しかもそれは一定量撮影者の個性に左右されない。どんな人がどんなカメラで撮ってもどんな演出しても、揺らがないものがあるということだ。撮影者を否定しているわけではない。撮影者の個性とはその先に枝分かれするもの…

花束みたいな恋をした

中央線の各駅にあるぼろぼろのアパートには必ず鍵がかかっていない部屋があって、なぜかといえば盗まれるようなものがないからだ。夜になるとそれぞれの部屋の小さな窓辺で峯田和伸と麻生久美子が夜光雪を眺めている。映画に出てくる中央線のアパートには、…

排気口ワークショップ、前/後

排気口(劇団の名前)のワークショップに呼んで貰ったので行った。楽しかった。主催した菊地穂波──以下、人称代名詞を「Dear(ディア)」と表すことにしますが──におかれましては三十分尺の新作を毎月一本計三本も書き下ろす作業は、胃の内容物を全て出し…

gekidanU家公演『With Home』「転がって若草」

震える膝で最初に申し上げますと、感想とはつまり、対象を自分がどのように見えたか/どのように思ったか?なので、作者の意図を汲んでいるかどうかは分かりません。 わざわざこんなことを前置きするのは、作者の木村美月さん、演出のヒガシナオキさんの描き…

ルクス・エテルナ 永遠の光

今日知ったのだけどポリゴンは20年前のあの事件でピカチュウを憎むようになってしまい(ポリゴンショックと名づけられたあの事件の該当カットは実はピカチュウのそれだったから)、その結果ピカチュウの皮をかぶってミミッキュと名乗るようになった…みたいなホ…

バルタザール どこへ行く

「バルタザールギザカワイソス( ; ; )」というのが感想なのだがバルタザールを虐めていたのは俺たちであった。 バルタザールの正体はなんだったのかみたいな思考の逡巡や議論は豊かなことであろうけど、俺は「ロバ」と思うね!!だってロバじゃん!!! ロ…

劇場版鬼滅の刃 無限列車編

えんむが言うところの「夢を見ながら死ねるなんて幸せだよねぇ」というセリフに俺は「確かに〜」と思ったし、少なくともこの映画においては正しいことを言っている。 というより、突き詰めていくとそれがこの映画のテーマであると思います。 劇中では夢から…

さよならみどりちゃん

映画…というか映画にのみならず映像および映像を視聴するという行為がテクノロジーの発展に伴って急速に獲得したものは「距離(の解消)」である。それは物理的な距離のみならず時間的な隔たりのこともそうだ。 2020年8月20日21時に"女子のあこがれ"の一時代を…

武士道シックスティーン

そもそも論だが、竹の棒で他人を思いっきりぶっ叩くなんてことは倫理的におかしい行為なんじゃないか?もっと言えば剣道における「ぶっ叩く」というのは表層であって、根にあるのは「斬る」行為つまり殺人の手段だ。他人を斬っていいわけなくない? ちょんま…

劇場

・物語的な感想をまず言うと共依存ではなく呪縛が延々に描かれていてそれは①「朝日って怖くない?」「わかる」↓②「ずっと昼なのに俺らの体は夜になるのと、夜になっても俺らの体は昼のまんまなのとどっちがいい?」という2シーンのセリフでおそらく示唆して…

牧野真莉愛 イラスト執筆現場に密着!!2

モーニング娘。'20の牧野真莉愛さんがただただメジャーの表紙を模写する映像がモーニング娘。公式ユーチューブチャンネルで発表されたのだが、前回6時間かけてルフィを描いた企画にどうして続編があるんだよおそらく映像としてははおんなじだろ!と思いなが…

PERFECT BLUE 夢なら醒めて……

アニメ版パーフェクトブルーが大傑作なのに比べて実写のコレはなんなんだよいい加減にしろ観る価値なしみたいなレビューばかりで、そういう意見に対し別に強く反論するつもりはないのだけども、俺はこっちの方が好き。 というか「良かった〜」とか「面白かっ…

はちどり

そもそも論だけど中学生の女の子の鬱屈した生活を延々と観て、大人がなにを感じるのか?というか、なにかを感じていいのか?もう思い出せなさすぎて他人事のような十代を、必死な当事者に投影して懐かしむ行為は、なんか…いいのか?やっていいのか?それがこ…

セブンス・コンチネント

断捨離映画。家族が力を合わせて家庭崩壊させる、と文字にしてみれば笑ってしまうが、共同体としての家族に通底する絆の強さというか、人間性なのか、強〜いと思わされる。仲良しなんだな。ぶっ壊すときにまず機能(=存在の存在たる意味)が失われる、失わせ…

妄想少女オタク系

"明るいことが恐ろしい"を超える、"恐ろしいことが明るい"作品。恋が盲目という言葉があるように、恋は宗教に似たニュアンスを持っている。また、恋の病という言葉もあるように、恋するメカニズムは病気にも近い構造もあるんだろう。保菌者であり天然の教祖…

うみのて

秋葉原GOODMANにうみのてのライブを観に行きました。「東京駅」のパフォーマンス部分が、すごくかっこ良かった。笹口さんは"秋葉原だから"という理由でやってたんだろうけど、今日のライブがうみのて活動休止ラストライブであること、いつか「皆好きって言っ…

マームとジプシー「cocoon」

マームとジプシー新作「cocoon」を池袋の東京芸術劇場で観た。 言葉がない。今年一番。「良い」とか「悪い」とか「面白い」「面白くない」じゃなくて、言葉が見つからない衝撃、たぶんまだ名前がない。 青柳いづみさんが死んじゃわないか心配だけど、死なな…

父と暮せば

西荻にある、遊空間がざびいというところで「父と暮せば」(作・井上ひさし)を観劇した。 「父と暮せば」といえば黒木和雄監督の映画が有名だけど、本当は井上ひさしの戯曲なんですね。二人芝居。めちゃくちゃ泣いた。 太平洋戦争直後の広島を舞台にしたいわ…

マリオ・ジャコメッリ写真展

東京都写真美術館でやっているマリオ・ジャコメッリの写真展に行った。 ずっと行こう行こうと思っていたら最終日になってしまい慌てて朝イチで恵比寿へ。 初期の写真はドキュメントのようで、解説に「彼は一枚の写真を芸術作品として見せるのではなく、何枚…

フランシス・ベーコン展

東京国立近代美術館でやっているフランシス・ベーコン展に行った。 ベーコンの絵は人物の顔に強い歪みが施されている事が多いのだけど、見ていてなんか歪みというか、滲みのようにも感じたのは絵特有のことか。 人物の足から影が滲んでいる絵があって、絵の…

「グッバイ・ファーストラブ」

イメージフォーラムでやっている「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」のうちの一本である「グッバイ・ファーストラブ」を観てきた。 フランス映画の女の子はいつも奔放で、だけどその奔放さを棚にあげて自分の嬉しい事や悲しい事だけを実感している。…